ふだんは和歌山のいなかをメインで活動してはいますが、今回は大阪の宝をご紹介。
現在当団体では農村の「ため池文化」とともに利用されてきた「たらい舟」を修復しようと動いていますが、その修復の相談をしに大阪堺の藤井製桶所さんを訪問してきました。
ここは日本でただ一つの大型の木桶を製造・修理している桶屋さんの会社です。
厳密にいうと、これまでもいくつかの会社がありましたが、保健所の指導により酒造会社での木桶がホーロータンクへと変わっていき、それによりどんどん廃業していって、今はもう日本にここしか残っていません。(小型の桶職人さんは日本各地にまだ少しおられます)
堺の住宅街の中に、ひょっこりと現れた製桶所さん。
入ってみると、巨大な大桶、それに合わせた巨大な竹のタガ、様々な木材、様々な職人の道具、そして竹でできた釘(写真3枚目)などがあり、本当に昔ながらの職人さんの仕事場でした。
そして、実際に職人さんから伺う話も、「木・材にこだわり」、「竹にこだわり」、「使う人の使い方に合わせた作り方のこだわり」、「形にもこだわり」「日本酒用桶、味噌醤油用桶、酢用桶の違い」などなど、ものすごく丁寧で妥協をしない作り手の想いがひしひしと伝わってきました。
ヒトも技術もとても素晴らしい会社でした。
ただ、この製桶所さんのところも残念ながら現在の職人さんの高齢化、後継者不足により近々廃業される予定だそうです。
世界無形文化遺産になった和食をずっと影から支えてきた木桶の文化並びに製造技術、そして一度買ったら100年使う修理技術も、貴重な日本の伝統産業のはずなのですがここまで桶屋が減少しても国から守られることがなく、放置されてきました。
ホーロータンクはそれはそれでメリットがありますが、大型木桶が完全になくなるのはもったいなすぎる・・・。
当団体の活動内容ともかぶっているので、つい色々と話し込んでしまいましたが、藤井製桶所さんのところから一筋の光が見える本音を最後に頂きました。
「実際のところ若い人を養うほどのお金は払えない。でももし自分からお金を払ってでも学びたいという熱意のある人が来たら、そういう人には教えて伝えたい」
身近にものづくりに熱意のある方、伝統産業にがっつり関わりたい方がおられたら、一度ご紹介ください。
(あ、直接訪問するのは仕事の邪魔になるのでやめて下さい。)