いなか伝承社(地域活性化支援)のブログ

和歌山県内各所の農山漁村のファンを作り、土地も含めた「慣習や風俗、信仰、伝説、技術や知識」の次世代への伝承を目的とする団体のブログです。  https://tsuku2.jp/inakadss 

【皇室御親蚕の小石丸。1000年以上続く養蚕の生きた証があった】

体験プログラムを作るために取材させていただいた養蚕農家さんが「小石丸」という品種を飼育されていました。

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カイコ

この小石丸という品種は日本でも数件しか飼育されていない、いや、「宮内庁から飼育を委託されている民間農家がうちしかない」(本当のところは宮内庁に聞いても教えてくれないので確かめていませんが)という大変重責を担っている農家さんで、大変貴重なものを拝見させていただきました。


ーーー以下、小石丸についてウィキより、
小石丸(こいしまる)は、蚕の日本在来種の一つ。宮中の御養蚕所における皇后御親蚕に用いられる品種で、非常に細く上質の糸を産する。
奈良時代より飼育が開始された品種。繭からとれる糸が、絹糸として著名なカイコ(家蚕)とは大きく異なる点がいくつかある。
糸が極細かつ太さが不均一だが、強さがあり引っ張っても切れにくい。けば立ちが少なく藍染めなどが艶やかに映え、とても良質(カイコとはほぼ逆)。
1つの繭から取れる糸は普通のカイコの繭の半分以下、多くて400~500m前後。
産卵数が少ない、病気に弱いなど、繭をつくる時期が個体による異なるなどの理由で飼育が難しい。
明治時代までは日本における養蚕の主流であったものの、その後は飼育・生産効率が良い交雑種のカイコに切り替わった。現代において民間での飼育数は極めて少なく、宮崎県綾町など数カ所に留まる。このため、普通のカイコの繭よりも高値で取引される。
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非常に貴重で繊細な品種のため、1日ごとの、そして時間ごとの緻密な飼育スケジュールを立てて、それを毎日記録し、去年までの飼育データと照らし合わせながら、今年の気候や桑の生育状況に合わせて飼育方法を変化させ、気難しい小石丸の飼育に向き合っておられました。
とっても大変な作業でした・・・。


そして、小石丸を飼育するレベルの農家でも、作業の大変さの割りに収入が良いわけではないらしく、後継者がいないとのこと。
「自分は親から受けついだ道具と桑畑があるからできる」
「新規就農には向いていない産業だ」
という農家さんの言葉は現場を見た上で聞くと、重いです。


1000年の伝統をとるか、ビジネスをとるか、やりがいをとるか。


養蚕業を続ける、養蚕業を支える、その現実を伝える体験プログラムを作って、その中から「やりがい」で養蚕農家を増やす支援や昆虫食の切り口を見せることが今の私にできることかなぁ・・・。
※現場ではバイオテクノロジーにより遺伝子改良したカイコが人類のための高付加価値な繊維の作出などの産業化が行われており、こちらはビジネスになりそうです。


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