いなか伝承社(地域活性化支援)のブログ

和歌山県内各所の農山漁村のファンを作り、土地も含めた「慣習や風俗、信仰、伝説、技術や知識」の次世代への伝承を目的とする団体のブログです。  https://tsuku2.jp/inakadss 

【 鯨油 ✕ 南極オキアミ イベント終了②。プランクトン料理について】

多分日本唯一のマニアックなイベントやりました。

鯨油 & ナンキョクオキアミという 食うもの✕食われるもの の両者を使い、2つの非売品の食材を、「食」と「灯り」の2つの切り口で行いましたが、本日の記事ではオキアミについてご紹介。

〈鯨油の方の記事はコチラ↓〉
 https://inakadss.hatenablog.jp/entry/2024/02/04/223713  

和歌山県太地町捕鯨文化がまだ残っており、クジラから採れる油「鯨油」、と抱合せで知って頂きたくてイベント化しました。

今回使用したのは「ナンキョクオキアミ」。
その名の通り、地球で最も汚染されていない海域である南極で獲れ、1ヶ月かけて日本に運ばれ、世界一資源量の多い生物です。
それはすなわち地球の様々な生物のエサとなり、何百万もの魚・鳥・イカ・ペンギン・アザラシ・クジラなどの主要な餌になり生命を支えています。南極の宝石とも呼ばれています。


今の日本では主には釣りエサ、魚の飼料、一部キムチ材料として使われる程度ですが、昭和の時代には食卓にも上っていました。
今回は釣りエサ用ではない、普段は一般市場に出ないナンキョクオキアミを手配できたので、みんなで食べてみました。
たぶん「プランクトン料理」という視点についても、イベント化したものは最近は他に無いかと思います。

なお、多くの方が誤解しているのですが、「最近オキアミ食べてたよ」「最近料理に使ったよ」と言われているものは『アミエビ』か『ツノナシオキアミ』です。また、形が似ていますがオキアミはエビとも違います。
説明すると長くなるので、解説は最下部にしました。良ければ一読下さい。


▶機能性成分

良質な「リン脂質」「ω3系脂肪酸EPADHA)」「アスタキサンチン」などを多く含む

▶ナンキョクオキアミ食べ方

・生、半生、ほぼ乾燥、素揚げ、唐揚げ、出汁をひく、出汁ガラ、オキアミ100%煎餅ほか


▶味は?

詳細は参加していただいた方のみの体験ということで多くは語りませんが、「う〜ん、まあまあ」から「めっちゃ美味しい」まで幅があるものの、最終的には「これ、商品化したら売れるんじゃない?」レベルの味まで到達しました。

これは美味しくて面白い素材。
※ちなみに塩辛にしたら真っ黒になります。


次回は更にブラッシュアップして、イベント内で時間の都合上できなかった、
 ・ペースト化して隠し味に使う、
 ・ペースト化して、オキアミシュウマイ
 ・スープ、塩辛など
なども皆様と楽しめたらと考えています。
一緒に使う鯨油も面白い素材です。
開催は梅雨どきを検討中。


好奇心旺盛な大人の学びと遊び場、としてゆるく楽しんでもらえたら〜。お楽しみに。


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ーーーーーーー以下、今回の『オキアミ』と、似ている『アミエビ』の違いーーーーーー
かな~りややこしいのでじっくり読んでください。

▼オキアミとは、形がとてもエビに類似しているプランクトンの一種です。
でも、エビとは違います。実際はエビの仲間ではなく、カニやロブスターなどと同じ甲殻亜鋼に属します。
全世界の海に生息しており、海面を漂いながら、植物プランクトンを捕食しています。
・クジラのエネルギー源になっています。
・今回の料理に使ったのは「ナンキョクオキアミ」です。体長は30〜60mm程度と、アミエビと比較すると大型のプランクトンです。

▼アミエビとは、小さなエビ型の生物の「総称」です。
サビキ釣りで使う撒き餌の商品名でもありますし、人間が食用としている小エビの商品名にもなっています。人間用アミエビは、干した状態で販売され、かき揚げ・焼きそば・お好み焼などに使われたり、生は塩辛などに使われます。
アミエビの特徴は「小型のエビ」ですが、あくまで「アミエビ」は通称です。
アミエビと呼ばれているのは、実は「アキアミ」というサクラエビ科のエビと、「ツノナシオキアミ」というプランクトンです。大きさと形状はよく似ていますが、それぞれエビとプランクトンなので全く別な生き物です。
・アキアミは体長15mm~25mm程度。東南アジアや日本で獲れ、日本では秋田県以南で、富山湾三河湾、瀬戸内海、中海、有明海などで漁獲されています
・ツノナシオキアミは体長10〜30mm程度。北太平洋や日本で獲れ、日本では三陸沖などで漁獲されています。