いなか伝承社(地域活性化支援)のブログ

和歌山県内各所の農山漁村のファンを作り、土地も含めた「慣習や風俗、信仰、伝説、技術や知識」の次世代への伝承を目的とする団体のブログです。  https://tsuku2.jp/inakadss 

身近な植物からの手作り古典インクで書き初め

羊皮紙が主役だった時代の、ヨーロッパの古典インク的なものを作ってみました。

Yahooニュースにも書いたので、良かったらクリックしてお読みください↓

【高野町(高野山エリア)】身近な植物からの、手作り古典インクで書き初め(田中寛人) - エキスパート - Yahoo!ニュース



といいつつ内容そのまま下部に掲載。


西洋の文字を書くためのインクはかつて植物から製造されていました。(対して、日本は墨)

かつてのインクの作り方
鉄の塩と植物由来のタンニン酸から作られた。
一般的に硫酸鉄(II)(FeSO4)を没食子酸(C6H2(OH)3COOH)に加えることで調合されるが、鉄イオンを生ずるものであれば何でも使用できる(例えば、釘、鉄くずなど)。没食子酸は通常、没食子から抽出されるが、他の種類の木の虫こぶからも抽出できる。
ヨーロッパでは紙や羊皮紙への筆記用および描画用のインクとして9世紀から19世紀にかけて一般的に使われた。(wikipedeliaより引用)

今回は、山で見つけたクヌギの虫こぶを使います。

※虫こぶとは・・・
植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のこと。それらはさまざまな寄生生物の寄生によって、植物体が異常な成長をすることで形成される。
マタタビ酒を仕込む時に使うのも虫こぶのできたマタタビ果実。

先に酸化鉄の元になる液を作るために鉄線を錆びさせた液を作っておき、そこにクヌギから成分を煮出した液(上の写真)を混ぜ合わせて完成。(本来は粘度を高める物質も入れる)

書いた時点では色が薄いですが時間の経過と共に濃くなり、インクになっていました!

クヌギを煮出した段階で既に液の色が濃かったので文字を書いてみましたが、読めたものの鉄分と混ぜた方が明らかに黒かったです。


今回はクヌギを使いましたが、他にはヌルデの虫こぶも使えます。

ちなみに、この黒い液体、そのままではありませんが日本では黒色染色材として、また、お歯黒や白髪染めとして使われていました。

※以前にお歯黒で遊んだ内容も記事化しております。ご興味ある方はご一読下さい↓
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/fd6dde15fb2773b65b9e062992f116aa9b4fbcc3

虫こぶからのタンニンの代わりに、紅茶のタンニンなども使えるので良かったら試してみてください。
※虫こぶは採集後に暖かい部屋に置いておくと中に住んでいる虫たちが出てきます。採集した場合はすみやかに煮出すか冷凍してください。

 

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